Tips & Info(ヒントと情報)

= 知っていて損はない情報のコーナーです =

素敵な芝庭をつくるために・・・

 
 「芝生は好きだけど、お手入れが大変!」「芝庭にしたけど、はじめの頃の綺麗な状態にならない!」・・・という方は意外にいらっしゃいます。 芝生といっても植物ですから、周りの環境によって生育条件や育成方法、管理方法も違ってくるものです。 でも、諦めないでください!
基本的な維持管理の仕方さえ知っていれば意外に難しいことはありません。
 このコーナーでは皆様に少しでも芝生のことを理解をしていただけるよう、専門業者でも教えてくれない「芝生の知識と維持管理の方法」をこっそり教えちゃいます。 初心者さんから業者さんまで幅広く網羅した内容ですが、できる限りわかりやすく解説しますので、きっと楽しみながら読んでいただけるでしょう。 これを機会に、ぜひご自分で実践してみては如何でしょうか?


1. 芝生の良さ・魅力とは?

 

 私達もずいぶんと多くのお庭を拝見させていただきましたが、最近はお庭に芝を敷き詰めていらっしゃる方が一
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昔前よりもずいぶん増えてきました。
そのことと比例して、芝生の施工依頼や ご質問も多くなってきています。最近では、ホームセンターでも気軽に芝を手に入れることが出来ることも身近になった理由かも知れませんね。
 
 それでは、前置きはこのへんにして本題に入りましょう!
 
一般的に、芝生には以下のような多くの魅力があると言われています。
 1. 芝生には心に安らぎを与えてくれますし、同時に開放感を与えてくれます
 2. 地面を芝生化することで、大人や子供が転んでも大きな怪我から回避できます
 3. 芝生には居心地の良さに加え、人をアクティブ感溢れる気持ちにさせてくれます
 4. 手入れの行き届いた芝庭は、アウトドアリビングのイメージを感じさせてくれます
 5. 芝生化することで、砂埃・土埃がたたないクリーンな場所になります
 
こんなに良いことばかりなら、今すぐにも自宅のお庭を芝生化したいものですね。
 
 


2. 芝生の種類は? この地域に適する芝は?

 

「芝生」は大きく分けて暖地型芝生(夏芝)と寒地型芝生(冬芝)の2種類があります。
前者で代表的なものはノシバ、コウライシバ、バミューダグラス(ティフトンシバ)等があります。特徴としては暑さ・乾燥に強い種類ですが耐寒性は弱く、寒冷地では冬枯れします(生育適温は25〜30度、10度以下で枯れた状態)。

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それに比べて、後者はケンタッキーブルーグラス、トールフェスク、ベントグラス等の種類があり、生育適温は15~20度ですが、5度前後から生育し始めます。しかし、0度以下でも枯死することはなく、耐寒性は非常に強い種類と言えます。北海道は東西南北に広大で気象条件も異なりますが、 道東ではほとんどが寒地型芝生が適しています。

   暖地型、寒地型のいずれの芝生であっても手入れをせず伸び放題にしてしまったら、せっかくの芝生が台無しです。手入れの行き届いた芝生にしてこそ、その効用が最大限発揮されると言えます。 芝生のお手入れは決して難しいものではありません。ただほんの少しの根気と、ちょっとした努力があれば良いのです。 さあ、これから「芝生」の管理方法を簡単にわかりやすく説明しますので、みなさんもぜひTRYしてみてください!
 
 


3. まずは「芝刈り」でしょう

 

 芝生の管理でまず一番大切な作業は「芝刈り」です。芝生は気候や気温によって、その成長は変わります。ですから、定期的に芝刈りをすることで、上に伸びる力を抑え、分けつと匍匐茎の発生を促進させ、それによって単位面積あたりの芝の密度を高めてくれます。これが、「緑の絨毯」と呼ばれる理由です。

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ここまできたら、 雑草の進入を防ぐことにもつながります。特に6月から9月中旬(あくまでも道東での話ですが・・・)までは成長が旺盛な期間ですから、出来れば2週間に1〜2回は「芝刈り」をしたいものです。

   また、芝はあまり伸びすぎると寝てしまい芝刈り機でも刈りにくくなりますので、6〜7cm伸びた段階で刈るようにします。刈高は3cm位を仕上がりとするのが目安です。 間違っても、茎の部分が地表に現れるまで伸ばしっぱなしにはしないでくださいね!そうなってしまいますと、元の状態に戻すのには、かなりの手間暇がかかりますから。
見た目の綺麗な手の行き届いた芝生をつくるためには、ちょっとした手間を面倒くさがってはいけません。(逆に、短く刈りすぎてもいけません。十分注意してください。) 綺麗に刈れたら、あとは刈草は丁寧に集めて処分すればOKです!出来れば、同時にサッチ(芝刈り時に発生した芝目に入り込んでいる細かい刈草のことです。←これは後で説明します。)
 
 


4. 施肥と散水を怠ってはいけません!

 

 次は「施肥(肥料散布)」と散水についてお話ししましょう。

良い芝に育てるには、散水と肥料が欠かせません。これらは植物の生育には最も必要な要素なのですが、実は植物
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全般にとって必要不可欠な栄養分である、窒素(チッソ=N)、燐酸(リンサン=P)、カリウム(=K)が土中では不足しやすいために、適度に補ってあげなければなりません。
つまり、「施肥」により芝生は健全に育ち、病虫害、排気ガス、踏圧、凍土、寒風等の有害因子に対しての抵抗力アップにつながります。
それでは、窒素、燐酸、カリウムとはどんな特徴があるのでしょうか?
以下で簡単に説明しておきましょう。
 
●窒素(N)・・・葉緑素を増やす効果(少ないと葉が黄変し、成長が止まる。逆に多すぎると、病気にかかりやすくなる。)
●燐酸(P)・・・植物体内の生理作用の促進させる効果、根の発達と萌芽の促進効果(少ないと生育が悪くなり、根の発達も悪くなる。)
●カリウム(K)・・・新陳代謝を良くする効果、根や茎を太く丈夫にする効果、病害虫や気候の変化などに対する抵抗力をアップさせる効果(少ないと抵抗力が下がり病気になりやすい。多すぎると他の栄養分の吸収を妨げて生育を悪くする。)
 
個人の庭芝の場合は、高度化成肥料(N:P:K比率が10:10:10、もしくは15:15:15)が使い易いかと思います。これらは、ホームセンター等でも多種多様の肥料が小売りされていますので、それらを購入するのも良いでしょう。(液肥よりも顆粒状のものがおすすめです。) 撒き方としては多量に施肥せず、葉色等を観察しながら数回に分けて少量ずつ均一に散布することが大切です。
 
 次は散水(水やり)です。 人間も水分を補給しないと生きていけませんよね。植物も同じです。特に張り芝をした後、施肥をした後、気温が高くなる6〜9月には特に十分な水分を補給してあげなければなりません。
気を付けたいのは、散水は優しいシャワーのようにじっくりと行うことです。決して、ジャージャーと勢いよくやらないでくださいね。特に、施肥をした直後には肥料が流れたり、1箇所に集まったりする可能性がありますので、特に時間をかけて、優しく、優しくです!
 
 


5. エアレーションと目土は何のため?

 

 十分に手入れが行き届いた芝生も時間が経つにつれて地面が固くなり、地中では通気性が悪化して根の発育も損なわれ、やがて地上の芝草の生育も衰えてきます。
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そこでこれを軽減させるため(通気性と透水性を改善することで、新しい根の発根を助けます)に、芝生の地表面に穴をあける作業を「エアレーション」と呼びます。時期としては年1〜2回(春・秋)が好ましいのですが、小規模の庭芝ではローンスパイクという簡易な園芸用具(ホームセンターで販売しています)を使うとお手軽に行えます。
  やり方としては10〜12cm間隔で、深さ5〜10cmの穴をあければOKです。お子様と遊び感覚でやってみましょう!
 
目土(めつち)という言葉はあまり聞き慣れないかも知れませんが、これも良い芝にするため(発根を促すため)には大切な作業です。 目土とは、芝生の上に草が隠れない程度(5mm位がベターです)に土を敷き均すことを言います。使用土としては塩分のない砂質系の土等が良いでしょう。敷き均すときは、レーキやトンボ、または熊手などで行うと簡単です。
 
 

6. サッチ除去も忘れてはいけません

 

 聞き慣れない言葉、「サッチ」とは、芝刈りをしたときに集草しきれないで残った細かい刈草が未分解のまま芝目の中に堆積した状態のことを言います。
実は、芝刈りをした直後にその刈草を集めて処理をしても、集めきれない細かい刈草を人力で完全に取り除くことはほとんど不可能なものです。それがある程度の期間の中で堆積するのですが、これを放っておくと、地表面に”フタ”をすることになり、草の新芽の発生を阻害するだけではなく、通気性や通水性が極端に悪化してしまいます(後々になって、雑草繁殖やコケの発生の直接要因になります)。ですから、この「サッチ」も必ず取り除かなくてはなりません。
やり方としては簡単です。
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まずは、ホームセンター等で売っている熊手(竹製のものが使い易いとおもいます)を使い、芝生の地際をかきおこして、細かな刈草の破片を掻き出します。この作業を「ブラッシング」と呼びます。
 
ブラッシングは適度な力をいれて芝生全体に平均して行わねばなりませんが、うまくやると、驚くほどサッチが浮き上がってくるのがわかるはずです。
その後は集草して処分すればOKです。出来るならば、年2回くらい(春と秋)、目土とエアレーションの前に終わらせたいものです。
 
 

7. 雑草防除は素敵な芝庭への入り口です

 

 誰でも必ず悩まされるのが雑草です。最初に言っておきますが、 雑草対策に完璧な特効薬はありません。
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時間をかけられるのであれば、こつこつと手抜きで対処することが一番良いと思います。今では、除草具もホームセンターで広く取り扱っていますので、それらを使えば気軽に除草もできますのでやってみてください。

でも、それも面倒で・・・という方には、芝生用の除草剤の使用をおすすめします。以下に、一般的にホームセンターなどで入手できる薬剤をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
 
●MCPP液剤 → クローバー・シロツメグサ・チドメグサ・・・50倍~100倍に薄めて噴霧器により葉っぱに散布する
●ザイトロンアミン液剤 → カタバミ・チドメグサ・・・20〜30倍に薄めて噴霧器により散布する
●MCPP液剤+アージラン液剤 → イネ科雑草全般・・・50〜100倍に薄めて噴霧器により散布する
●インプールDF剤 → ハマスゲ・スギナ・カタバミ・・・10㎡の芝に散布する場合、水10㍑に3〜5g程度を良く溶かしてから散布器により散布する
 
 除草剤を使用するにあたり注意しなければならないことは、薬剤に添付されている説明書をしっかりと読み、正しく使用しなければいけません。また、除草剤は決して万能薬ではありませんので、使い過ぎは芝生にも少なからず悪影響を及ぼすこともありますので、十分配慮してください。
 
 


8. 終わりに・・・ 

 

 以上で、芝生の維持管理に関する説明は終わりますが、一番大事なことは芝生に愛情を持って対処することです。
芝生といっても、あくまでも植物であり、生きています。人間のように言葉を発することができないだけで、その表情から推測することは可能なのです。ですから、普段から芝生の状態を出来るだけ観察するようにしてくださいね。
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 芝生を維持管理することは大変なので、庭芝を敬遠する人がいらっしゃいます。そんな気持ちは判らないでもありませんが、ある意味間違っていると私は思っています。
人も動物(ペット)も昆虫も植物も、皆生きています。毎日のちょっとした対処があれば、元気にすくすくと育つ可能性を持っています。その中で人は癒されるものです。
換言すれば、「庭」を持つことはまさしく、そのためなのかもしれません。
 
さあ、それでは今までの説明をもとに、一般的な作業スケジュール(あくまでも、道東地域です)を下記の表にまとめてみましたので参考にしてください。 それでは、芝庭にLet's TRY!
 
◆ブラッシング・・・融雪期の4月から降雪期前の11月の期間内に2〜3回実施(4・8・11月)
◆エアレーション・・・融雪期の4月から降雪期前の11月の期間内に2回実施(4・10月)
◆目土・・・融雪期の4月から降雪期前の11月の期間内に1回実施(4月)
◆芝刈り・・・芝草が伸び始める5月から11月の期間内に適宜(6〜9月は成長が旺盛なので、場合によっては2週間に1〜2回実施)
◆施肥・・・融雪後の5月から降雪期前の11月の期間内に2回実施(5・8月)
◆雑草防除・・・適宜
◆散水(水やり)・・・芝草の成長適温期(5〜9月)、または乾燥期は週1回実施、施肥後は毎回実施